フェードアウト

そろそろほとぼりが冷めただろうから書くけど、このブログのとある記事に企業の代理人を名乗る弁護士から削除要請が来た。正確にはプロバイダー責任法に基づいて「はてな」に申し立てが行き、記事を削除するかどうか自分のところに転送されてきた。

他の記事をあちこち見てもらえばわかると思うが「どこに削除しなきゃいけない要素があるの?」って感じると思う。自分も青天の霹靂であった。プログラミングとかウェブ技術について、見つけたバグとか気付いたことを記述していただけなのだが、その企業にとってはそれだけでアウトっぽい。過去にやらかした「ポカ」に関する記述がネット上のどこかに存在していてはならぬということらしい。

一時期「ネット上での忘れられる権利」が話題になっていたが、その権利をもっとも駆使したいのは「嘘つき」の人々であろう。

https://gendai.media/articles/-/67233?page=2

ググると、削除要請を出してきたその企業は他の場所でも似たようなことをしているらしく、同様の警告を受けたというサイトやブログをいくつか見つけた。突っぱねているサイトもあれば、折れているサイトもある。自分はどうしようかと迷ったが、日常生活がアレで心の余裕がないので削除しておくことにした。萎縮してしまったわけだ。

性善説」では民主主義の進展が期待されたけれど、現実には「有力者」「金持ち」といった勢力が、人を雇って様々なネット工作を展開し始めた。

https://mishimadou.exblog.jp/27829321/

レビューサイトのかなりの部分がサクラに汚染されてしまっているということは知ってると思う。アマゾンのレビューサイトに低評価を投稿したら、連絡が来たって話まで聞く。ああいういのって、もう商用サイトを飛び出して、一般人のブログやSNSにも及んでるっぽい。都合のいい情報をバラまくだけでなく、圧力をかけて都合の悪い情報も消させようとしている。こんな存在してようがしまいがどうでもいいようなブログにすら削除要請が来るようになってしまっている。

自分は検索エンジン経由で飛んでくる人の参考になればいいと思って記事を書いてきた。一般受けするかとか、アクセス数が稼げるかとかは気にせず、単純に誰かの助けになればいいねと思ってね。自分も知らんやつの記事に助けられたことは結構あるからね。

インターネットの世界は「信頼」でできていると思っています。自分が得たものと同じだけ、インターネットの世界に還元しようと考える人たちで作られた善意の世界が、今では現実世界と同様、性善説だけでは回らなくなっています。

偽の評価を作り出せば現実世界で金になる──そう考えることは仕方がないかもしれません。しかし、それはこれまで先住者たちが積み上げてきた「信頼」を削る行為であり、いつかその信頼はゼロになってしまうでしょう。それだけは避けたいのです。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1803/23/news082_2.html

wiki全盛のころは善意だけですさまじいクオリティのゲーム記事とデータが集まった

https://twitter.com/skollG/status/973822823541207045

ゼロ年代までのネットの空気を覚えている人ってどれくらいいるだろう? 今回の一件で、もう今のネットは昔とは違うのかもしれないねって強く感じるようになった。ウェブブラウザの履歴を見れば、もう個人サイトや個人ブログなんかほとんど閲覧していないことに気づく。主に閲覧しているのは、SNSウィキペディア、企業の商用サイト、そのあたりでしょう。今のネットも楽しいよ、そりゃ。今後もネットはある。でも、あの頃のネットはもう二度と戻ってこないだろうな。よく「今のネットはつまらない」とは言うけれども、それも少し違う。当時の人々が漠然と抱いていた理想とは別方向に進化していってしまったというのが順当な説明だろう。

2007年インターネット・トラフィックの半分は何千ものサイトで占められていた

https://www.ncta.com/whats-new/the-expanding-consolidation-of-the-consumer-internet-3

まぁ、こういう感傷に浸れるぐらいなので、自分も歳をとったなと感じる。あの頃ネットの最前線にいた人たちはどこへ行ってしまったのかなって思う。きっと「ありがとうflash」を作った人も同じようなことを感じていたのだろうな。

おわり(^ω^) ノシ